相続コラム

2019年04月01日
新元号「令和」への移行に伴う相続手続きについて

名古屋栄の中日綜合法律事務所の弁護士の熊谷考人です。

 

 

本日、新元号が「令和」になることが決まりました。

 

 

 

過去に作成をした遺言や今後の相続手続きにも、新元号移行に伴う確認が必要になる点がありますので、

必要な対応等につきまして、一度、お気軽にお問合せ下さい。

 

 

 

中日綜合法律事務所では、相続を専門的に扱う弁護士が、

迅速かつ極め細やかなサービスで、

依頼者の方に寄り添いながら、事案に応じた最良の解決に至るまでサポートを行います。

 

 

 

相続・遺産分割・遺言作成・遺留分減殺請求・事業承継・家族信託・相続税対策等でお悩みの方は、

名古屋栄の中日綜合法律事務所まで、お問合せ下さい(相談専用TEL:052-252-7556)。

2019年02月13日
相続法改正点(遺言作成)について

名古屋栄の中日綜合法律事務所の弁護士の熊谷考人です。

 

 

今回は、相続法改正点(遺言作成)について、解説をしたいと思います。

 

 遺言制度については、全文を遺言者の自筆で書くことが必要な「自筆証書遺言」について、

2つの大きな見直しが盛り込まれました。

 

 

⑴ 自筆証書遺言の方式緩和
 遺言者が、遺言の内容として特定の財産を特定の相続人に承継させたい場合などは、

財産が特定できる事項を記載する必要があります。

例えば不動産であれば登記事項(所在地・地目・地番・地積など)、

預貯金であれば金融機関名・口座番号などであり、

「財産目録」として本文とは別に別紙で添付されることもあります。

自筆証書遺言の場合、この財産目録についても自書が必要となるため、

遺言者が高齢の場合などは作成の負担が特に大きく、

遺言書の利用を妨げる要因になると指摘されていました。

改正法では、この財産目録を別紙として添付する場合に限り、自書を不要とすることとされました。

代わりの作成方法としては、従来の自筆部分をパソコンで作成した書面のほか、

登記事項証明書や、預金通帳のコピーを添付する方法が挙げられています。

なお、別紙の全てのページに署名・押印をする必要があります。

なお、この見直しについては、公布日から6 ヵ月経過日の2019 年1 月13 日から施行されます。

 

⑵ 自筆証書遺言の保管制度の創設
 自筆証書遺言は遺言者の家で保管されるのが一般的であり、

公正証書遺言のように作成後の遺言(原本)を公的機関に保管する制度はありません。

そのため、遺言書の存在を隠しておくことができる反面、

方式不備(日付や署名・押印など)、紛失や偽造のおそれがあり、

後日その存在や有効性をめぐって紛争が生じやすいというデメリットがありました。

改正法では、自筆証書遺言(原本)を法務局に保管する制度を創設することとされました。

この制度の手続きの流れは、次のようなものとなります。

 

 

①遺言者本人が法務局に自筆証書遺言(無封のみ、原本)を持参し、保管申請をする。

この申請は必ず遺言者自身がする必要があり、代理申請はできません。

また、本来自筆証書遺言は日付や署名押印があれば様式や封印の有無は自由ですが、

この制度を利用する場合は法務局の審査の都合上、

「法務省令で定める様式」で作成した「無封」の遺言書である必要があることに注意して下さい。

 

 

②法務局では遺言者の本人確認のうえ、遺言書の形式審査がされます。

ここで日付の誤りや署名・押印もれなどの方式不備がないかチェックされるため、

後日の紛争を避けることが期待できます。

法務局で原本が保管されるとともに、遺言書の画像情報が法務局間で共有されます。

 

③遺言者が死亡して相続が開始すると、

遺言者の関係相続人等(相続人・受遺者・遺言執行者等)は、法務局に対して、

㈠遺言書情報証明書の交付、㈡遺言書保管事実証明書の交付、㈢遺言書の閲覧を請求でき、

これらで遺言書の内容を確認して相続手続きができます。

なお、相続人等の1人が㈠または㈢の手続きをした場合は、

法務局からその他の相続人・受遺者・遺言執行者へ、

遺言書を保管していることが通知され、利害関係者にとって、遺言書の存在が明確となる仕組みとなっています。

 

⑷ また、現行では、自筆証書遺言については、

遺産分割前に家庭裁判所での検認の手続きをとらなければなりませんでしたが、

改正法では、保管制度を利用した場合はこの検認手続きが不要とされました。

これにより、相続人等は遺言書に基づいてすぐに遺産分割手続きに入ることができます。

 

 

保管制度を利用するメリットをまとめると、

法務局で遺言書原本が保管されるため紛失や破棄のおそれがないこと、

保管申請の際に形式審査がされるため方式違反のおそれがないこと、

家庭裁判所での検認手続きが不要となるため遺言書に基づいて

すぐに遺産分割手続きに入ることができることなどが挙げられます。

 

 

中日綜合法律事務所では、相続を専門的に扱う弁護士が、

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2019年02月12日
相続法の改正点(遺産分割)

名古屋栄の中日綜合法律事務所の弁護士の熊谷考人です。

 

 

今回は、相続法改正点(遺産分割)について、解説をしたいと思います。

 

 

⑴ 配偶者保護のための方策
 現行の民法では、被相続人から遺贈や生前贈与により特別な利益(特別受益)を得た相続人がいる場合、

相続人の間の公平のため、遺産分割においていったん遺産に持ち戻して、

それぞれの相続人の取り分を計算するのが原則です(特別受益の持戻し)。

つまり、「原則として遺産分割の計算の対象に含める」ことになっているのです。

例えば、被相続人がその生前、配偶者と一緒に住んでいる家を配偶者に贈与していた場合、

その家は原則として遺産に持ち戻されるため、

預貯金など家以外の遺産についての配偶者の取り分は、その分少なくなってしまいます。

改正法では、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、

居住不動産(配偶者居住権を含む)が遺贈・贈与された場合に限り、

遺産分割においてこの持戻し免除の意思表示を「推定」し、

原則として遺産に持ち戻す必要はない(計算の対象外とする)ものとされました。

つまり、配偶者への居住用の家や敷地の贈与等に限って、

現行の民法での原則と例外を逆転させ、「原則として遺産分割の計算の対象に含めない」扱いとしているのです。

 

 

⑵ 預貯金の仮払い制度の創設等
 複数の相続人が共同相続した預貯金の取扱いについて、最高裁は近年判例を変更し、

遺産分割の対象となると判断しました。

そのため、遺産分割前の個々の相続人への払戻しは、相続人全員の同意がない限り認められません。

払戻し請求を受ける金融機関にとっては取扱いが明確になるメリットはありますが、

実務上、相続債務の弁済や相続人の生活費、葬儀費用などの緊急の払戻し需要に応じるための、

いわゆる「便宜払い」が困難になったため、そのような需要への法的な手当てが求められていました。

改正法では、共同相続された預貯金の遺産分割前の払戻しを認める制度として、

①家庭裁判所の手続き(保全処分)を利用する方法と、

②裁判所外での相続人単独での払戻しを認める方法の2つが創設されました。

①の方法は、家庭裁判所に遺産分割の審判または調停を申し立てた上で、

預貯金の仮払いの申立てをする必要があり、

②と比較するとコストや時間がかかるというデメリットがあります。

また、相続債務の弁済のためなど、仮払いの必要性があることの疎明

(一応確からしいという程度の証明)が必要になります。

他方で、仮払いの金額に上限は設けられておらず、申立て額の範囲内で裁判所が必要と判断すれば、

特定の預貯金債権の全部を取得することもできるため、

②の上限を超える金額の払戻しが必要な場合に適していると考えられます。

②の方法は、相続人が金融機関の窓口で直接払戻しを求める方法です。

仮払いの必要性②の方法は、相続人が金融機関の窓口で直接払戻しを求める方法です。

仮払いの必要性も要求されず、裁判手続きも不要なため、①に比べて簡便です。

他方で、仮払いの金額に上限が設けられており、

具体的には、「相続開始時の預貯金債権の額(口座基準)×3分の1×(仮払いを求める相続人の)法定相続分」

かつ「債務者(金融機関)ごと(複数の口座がある場合は合算)に法務省令で定める額」が上限となります。

「法務省令で定める額」は現時点では明らかではありませんが、

これまでの検討の経緯から、100万円台で定められるのではないかと思われます。

なお、仮払いされた預貯金は、その相続人が遺産分割(一部分割)により

取得したものとみなされます(遺産分割の際に具体的相続分から引かれます)。

利用方法としては、葬儀費用など特に緊急性が高い費用については時間のかからない②の方法で払戻しを受け、

緊急性がそこまで高くない相続人の生活費用については金額に上限がない①の方法で払戻しを受ける、

といった使い分けが考えられます。

なお、この払戻しの請求権自体を譲渡・差押え・相殺できるかどうかについては否定的に考えられています。

また、相続人から預貯金の持ち分を譲り受けた債権者や差し押さえをした債権者については、

この払戻し請求はできないと考えられているようです。

 

 

⑶ 遺産分割前に処分された財産の扱い
 遺産の分割前に遺産の全部又は一部が処分された場合、現行の実務では、

その処分された遺産については遺産分割の対象にならなりません(現に残っている遺産のみを分割します)。

特に処分した者が共同相続人である場合、その相続人は遺産分割において処分で得た利益分を引かれることなく、

他の相続人と同じ条件で遺産の分け前にあずかることができ、結果的に他の相続人より多くの遺産をもらえるので、

不公平が生じることになります。

改正法では、遺産分割前に処分された財産について、

処分をした相続人本人を除く共同相続人全員の同意があれば、

遺産分割時になお遺産として存在するものとみなすこととされました。

これにより、より公平な分割結果が実現できることが期待されるものの、

他方で、遺産分割の前提となる遺産の範囲について、

処分された財産があるかどうかの審理が必要となるため、

遺産分割手続きが長期化・複雑化する懸念も指摘されているところです。

 

 

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2019年02月06日
相続法の改正点(配偶者居住権)について

名古屋栄の中日綜合法律事務所の弁護士の熊谷考人です。

 

 

今回から、相続法改正点について、何回かに分けて、解説をしたいと思います。

 

 

<配偶者の居住権の創設>
被相続人の持ち家に住んでいる配偶者について、被相続人亡き後の居住を保護するため、

「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」の2つの権利が創設されました。

⑴ 配偶者短期居住権
配偶者短期居住権とは、相続開始時に被相続人の持ち家に無償で住んでいた配偶者は、

一定期間、その家を無償で使用することができるとする権利です。

現行では、使用貸借の合意を推定するという理屈により、

相続開始から少なくとも遺産分割終了までの間、

同居相続人(配偶者を含む)の居住を保護する判例の取扱いが確立していました。

しかし、この取扱いの場合、合意を推定できないケース(住宅が第三者に相続された場合など)では、

居住権を保護できないことから、今回新たな権利が創設されることになりました。

配偶者短期居住権は、相続開始により当然に発生します。

そのため、配偶者居住権とは異なり、被相続人の遺言などであらかじめ定めておく必要はありません。

存続期間は、原則として、その後の遺産分割によりその住宅(居住建物)を誰が相続するかが確定した日、

または、相続開始時から6ヵ月が経過する日のいずれか遅い日までとされています。

したがって、最短でも相続開始時から6ヵ月が経過する日までの間は、

配偶者短期居住権に基づいて住み続けることができることになります。

権利の内容は、配偶者居住権より限定されています。

配偶者自身が住宅を使用(居住)するほか、

住宅を取得した者の承諾を得て第三者に使用させることもできますが、

配偶者居住権とは異なり、第三者への賃貸などの収益のために利用することは認められていません。

また、配偶者短期居住権が発生する範囲は、配偶者が無償で使用していた部分に限られます。

例えば被相続人の生前、2階建ての戸建ての1階部分を店舗、

2階部分を住居として使用していた場合、配偶者短期居住権が発生するのは2階部分のみとなります。

また、配偶者は賃料相当額の経済的利益を得ていることになりますが、

遺産分割時の計算上は考慮されないと考えられます。

つまり、配偶者の遺産の取り分(具体的相続分)を計算する際に算入されないので、

配偶者は他の財産の取り分を減らすことなく、住宅に住み続けられることになると思われます。

 

⑵ 配偶者居住権(長期居住権)
配偶者居住権とは、相続開始時に被相続人の持ち家に住んでいた配偶者は、

原則としてその終身の間、その家を無償で使用・収益できるとする権利です。

現行では、遺産分割終了後も同居相続人の居住を保護する方法として、

その住宅自体(所有権)を相続させることが考えられます。

しかしこの場合、一般的に不動産の評価額が高額となることで住宅以外の財産を取得できず、

結局、生活資金確保のために住宅を手放さざるを得なくなるケースがみられました。

改正後は、配偶者居住権を利用することで、例えば住宅を子に相続させ、

配偶者には配偶者居住権を取得させるというように、

配偶者の居住を保護しつつ他の財産も取得させることができるようになります。

配偶者居住権は、相続開始により当然発生する配偶者短期居住権とは異なり、

遺贈(遺言による贈与)または遺産分割によって取得させる必要があります。

後日の紛争を避けるためには、予め遺言書を作成しておくことが有益であると思われます。

存続期間は、原則として配偶者の終身の間ですが、遺言や遺産分割の定めによって、

より短い期間とすることもできます。

つまり、特に定めがない限り、配偶者の終身の間となるのです。

権利の内容としては、住宅の使用(居住)のほか、第三者への賃貸など収益に利用することもできますが、

原則として、従前と同じ利用方法である必要があります。

したがって、住宅のうち、元々、店舗や賃貸物件として利用していた部分(収益部分)については、

配偶者居住権の発生後も引き続きそのまま利用することができます。

配偶者居住権は、配偶者短期居住権と異なり住宅の全ての部分に及びます。

したがって、前記の例では、配偶者は2階の居住部分だけでなく、

1階の店舗部分についても配偶者居住権を取得することができます。

また、配偶者居住権は、登記(占有は不可)により、

相続人以外の第三者(相続人から住宅を譲り受けた者など)に権利を主張できます。

さらに配偶者は住宅の所有者に対して、配偶者居住権の設定登記の手続きをするよう請求できます(登記請求権)。

遺産分割時の扱いは配偶者短期居住権と異なり、

配偶者は、配偶者居住権の財産的価値相当額を相続したものと扱われます。

つまり、遺産分割において配偶者の遺産の取り分(具体的相続分)を計算する際には、

配偶者が配偶者居住権を特別受益として取得したものとみなして計算することになります。

 

 

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2019年02月05日
相続法改正について

名古屋栄の中日綜合法律事務所の弁護士の熊谷考人です。

 

 

2018年7 月6 日、相続に関する民法等の規定(相続法)を改正する法律が成立しました(同月13 日公布)。今回の改正は、約40年ぶりの相続法の大きな見直しとなります。

 

 具体的には、配偶者居住権、預貯金の仮払い制度、自筆証書遺言保管制度の創設等が盛り込まれました。

相続人以外の親族が被相続人の介護等をした場合、「特別寄与料」を請求できる規定も設けられました。

 

 原則として、2019 年7 月12日までの政令で定める日に施行されます。

ただし、配偶者居住権及び自筆証書遺言保管制度については、

2030年7 月12 日までの政令で定める日に施行されます。

 

 

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